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COVID-19にはインフルエンザのような 承認された治療薬がまだありません。これが問題を深刻にし、私たちを不安にする大きな要因になっています。

治療薬があればもっと状況は改善 しそうです。最近は治療薬候補として、 アビガンなど色々な名前を聞きます。

COVID-19 の治療薬としては有効性と 安全性が確立されていないというのが現状です。

「プラセボと比較して明確な差」が検出されていないのです。

ここでは「プラセボとは?」 「プラセボ効果の意味は?」 に迫ってみました。

Contents

プラセボとは?

プラセボは、薬と外見上はまったく同じで、中身は澱粉や糖分などで作られています。

「薬をのんだ」という安心感を患者さんに与えることで、薬の害作用や薬物依存を回避し

「自然治癒力と暗示的効果による経過を見る」という治療意図で使われます。

また、治療目的ではなく比較対照臨床試験で、試験薬の効果と暗示的な効果を区別するためにも使われます。

プラセボには、生理食塩水の注射や手術で表面だけ切開して病巣を切除しないで縫い合わせる、といったものもあります。

また、ツボを刺激しないように細工された針治療の用具などもあります。

呼び方も、プラシーボ、プラセボ、偽薬、ダミー、乳糖錠など、様々なものがあります。

 

(註:プラセボ:ラテン語で、「私が喜ばせてあげます」という意味です。医学辞典が2回改訂された後の版では、プラセボは効果も害もない 「みせかけの薬」とされました。)

プラセボ効果とは?

プラセボ効果とはプラシーボ効果の別称で、有効成分が含まれていない薬剤(偽薬、プラセボともいわれる)によって、症状の改善や副作用の出現が見られること。

偽薬効果ともいわれる。

プラセボ効果が起こる理由は明らかになっていないが、暗示や自然治癒力などが背景にあると考えられている。

臨床試験時にプラセボ効果が働いてしまうと、正しい試験結果が導き出されない。

そのため、プラセボ効果を出さず客観的な評価をするために 二重盲検法(double blind test;DBT)という 試験デザインが生み出された。

これは、新薬の有効性・安全性を確かめる比較試験の一種で、多数の患者を対象に、調べる必要のある薬と偽薬を使い、

誰にどちらを投与したか患者側はもちろん医師側にも一切知らせずに行う試験 デザインである。

二重盲検法で新薬の比較試験を行うことで、先入観によって生まれるプラセボ効果を防ぐことができる。

新薬を開発するとき、研究者は薬の効果とプラセボの効果を比較する臨床試験を行います。

どんな薬でも、その作用と関係のないプラセボ効果をもつ可能性があるからです。

そのため、薬の本当の効果とプラセボ効果を区別しなければなりません。

こうした試験では、一般に、臨床試験に参加した人の半数に薬を投与し、 残りの半数には見た目が同じプラセボを 投与します。

参加した人と研究者の双方が、だれに薬が投与され、だれにプラセボが投与されたのかが分らないことが最も望ましいといえます 。

(この種の試験を二重盲検試験といいます)。

「アビガン」が承認さrないのは?

いくつかの研究報告がなされていますが、いまだにCOVID-19 の治療薬としては有効性と安全性が確立されていないというのが現状です。

COVID-19 感染症の場合、そもそも症状が出ない人もいれば、症状があって軽症で薬を飲まなくても治ってしまう人もいます。

そういう疾患に対して薬を飲んだら効果があったというためには本来薬を飲んだ場合と飲まなかった場合とで比較するしか 判定ができません。

正しく評価するためには治療薬を使用する群とプラセボ薬を使用する群についてランダムに分けて比較することが最適といわれています。

このような試験をランダム化比較試験 (randomized controlled trial, RCT)といい、

さらに患者も医療従事者もどの人が 治療薬かプラセボ薬を飲んだかが わからない状態で試験を行う方法を 二重盲検(double blind)といい、より好ましいとされています。

レムデシビルは、米国のデータからは 確かに一定の治療効果が認められました。

回復までの日数(中央値)をレムデシビル群とプラセボ群と比較して有意に差がありました。

プラセボ15日間に対して11日間です。

そして死亡率についてもプラセボ11.6%に対して8.0%と、治療群で低値でした。

ただし、こちらについては有意な差ではありませんでした(p=0.059)。

アビガンでは、ここのところが明確ではないのです。

まとめ

 

要約のまとめでしたが、メカニズム的には効果がありそうな薬ですが、これまでCOVID-19 の治療薬としての効果は 明らかにはされていません。

アビガンを日本で(厚労省の特例承認付きで)早期に使えるようにするためには、

レムデシビルのように米国FDAのEUAを取得後に日本で特例承認を取るという方法が 早いのではないかと考えられます。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。


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