アメリカのトランプ大統領は、新型コロナウイルス感染症の治療として回復者血漿を緊急承認したことを発表しました。
新型コロナに対する治療薬として効果が認められている薬剤として、抗ウイルス薬のレムデシビルとステロイドのデキサメタゾンがあります。
この他にも様々な治療薬が検討されていますが、その中の一つに回復者血漿療法があります。
ここでは、「血漿療法とは?」「新型コロナ回復者との関係や副作用・リスク」
に迫ってみました。
Contents
血漿療法とは?
回復者血漿とは、特定の感染症から回復した人の血漿を指します。
血漿とは、血液の中から赤血球・白血球・血小板などの血球成分を取り除いたものです。
この血漿の中にはウイルスなどの病原体を不活化する様々な抗体が含まれます。
抗体は「Y」の形をしています。
回復者血漿と一般的な血漿との最大の違いは、回復者血漿は特定の感染症(例えば新型コロナ)から回復したドナー(献血者)から得られることです。
感染症から回復した人は、その感染症に対する抗体を有しているため、回復者から血漿を提供してもらい、
これを投与することで新しく感染した患者の治療に役立てることができます 新型コロナ回復者血漿療法によって、
新たに感染した方の救命につながる可能性があります。
新型コロナ回復者との関係や副作用・リスクは?
さて、アメリカでの緊急承認を受けて、今後この治療法は国内ではどうなるのかが注目されるところですが、すでに安全性についての懸念が報じられています。
これまでにアメリカでは20000例を超える新型コロナ患者に投与されており、副作用については従来の輸血と同等であったと報告されています。
従来の輸血の副作用とはつまり、アレルギー反応、肺障害(TRALI: 輸血関連急性肺障害)、心不全などです。
これに加えて、回復者血漿療法では抗体依存性感染増強 (ADE:Antibody-dependent enhancement)という反応が懸念されています。
これは病原体に対する抗体が、細胞へのウイルスの侵入をむしろ増加させ、
疾患を重症化させてしまう現象であり、デング熱などでこうした現象が知られています。
同じコロナウイルスであるSARSコロナウイルスでは、サルの実験で抗体によって肺障害がみられたという報告があり、
新型コロナでもこのADEが懸念されていましたが、これまで5000例に投与してもADEはみられなかった、という報告もすでに出ており、
今のところ少なくとも頻度が高い副作用ではなさそうですが、引き続き注意が必要な副作用です。
まだ日本人患者に対する安全性は検討されていませんので、国内ではまずは安全性の評価から行われることになるでしょう
まとめ
新型コロナに対する治療薬として効果が認められている薬剤としての、抗ウイルス薬のレムデシビルとステロイドのデキサメタゾンがあります。
加えて、回復者血漿療法が有効で認可されたことは、心強いものを感じます。
日本では、遅れているようですが、早急に進めたいただきたいものです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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