ワクチンの接種が始まっておりますが、開発段階の「効果比較方法」についてごぞんじですか?
薬(または医療機器)の有効性・安全性を調べるためには、他の薬(機器)と比べてみる必要があります。
これをできるだけ科学的に行うための手法として特に重要なのが、二重盲検試験(目隠し試験)とランダム化比較試験(くじ引き法)です。
また新薬を何と比べるか――現時点で最善の治療とされる標準薬と比べるのか、薬の成分を含まないプラセボと比べるのか――というのも、大きな問題です。
ここでは、「プラセボとは?」「語源と意味」「二重盲検試験(目隠し試験)とは?」
に迫ってみました。
プラセボとは?
プラセボは、薬と外見上はまったく同じで、中身は澱粉や糖分などで作られています。
「薬をのんだ」という安心感を患者さんに与えることで、薬の害作用や薬物依存を回避し「自然治癒力と暗示的効果による経過を見る」という治療意図で使われます。
また、治療目的ではなく比較対照臨床試験で、試験薬の効果と暗示的な効果を区別するためにも使われます。
プラセボには、生理食塩水の注射や手術で表面だけ切開して病巣を切除しないで縫い合わせる、といったものもあります。
また、ツボを刺激しないように細工された針治療の用具などもあります。
呼び方も、プラシーボ、プラセボ、偽薬、ダミー、乳糖錠など、様々なものがあります。
プラセボの語源と意味は?
プラセボの語源はラテン語で、喜ばせましょう、という意味があります。
古くはカトリックの死者のための祈りの中で使われ、後に葬儀で死者の棺の前で職業的に歌う「泣き屋」の意味から、
14世紀以降には「こびへつらう」などの意味も含まれるようになりました。
19世紀に近代薬理学が発達すると、医学辞書の中でも、薬剤の真の効果とプラセボの効果とを区別する説明が書かれるようになりました。
プラセボという呼び名は現在多くの国で使われていますが、日本の「偽薬」と同じ漢字を書いて、韓国語ではウーヤクと読むそうです。
英語ではdummy、手術の場合はsham surgeryという表現もあります。
ドイツ語の「空の物質」という意味の表現も興味深いものです。
中国語は、安心の安に慰める、薬剤の剤「安慰剤」と書いてアンウィーヅィと読むそうです。
これはプラセボの本来の意味に近いかもしれません。
🔸語源:ラテン語―placebo,「喜ばせましょう」―(I shall please)
二重盲検試験(目隠し試験)とは?
薬の効果は心理的な影響を受けます。薬としては何の作用も持たない作り物(プラセボ)でも、
本物だと思って飲めば、3割から6割の人が効いたような気分になるといわれています。
これを暗示効果、またはプラセボ効果と言います。
開発中の薬が本当に効くのかどうか調べるためには、新薬と見た目も味もそっくりのプラセボを作って、
見分けがつかないようにしておいて、新薬を飲む人とプラセボを飲む人でその効果に違いがあるかをみる必要があります(単盲検)。
さらに、効果を判定する側にも、期待した効果にそぐわない結果を見過ごしてしまう可能性(観察者バイアス)がありますから、 薬を出す医療者側にもわからないようにします。
このことを二重盲検といいます。
それでは、新薬とプラセボを比較するような臨床試験・治験(プラセボ対照試験)に参加した人たちは、プラセボが使われることについてどのように感じていたでしょうか。
自分に配られたものがプラセボかどうかが気になったという人は少なくありません。
本来プラセボは、医療者が見てもわからないように作られていますので、見た目や味、触感だけで、
本物かそうでないかを判断することはできないのですが、 薬の外見や服用後の体調の変化などから推し測ろうとした人もいました。
まとめ
同様に、「ランダム化比較試験(くじ引き法)」がありますが、ここでは省略しました。
本来プラセボと比べる臨床試験・治験を行うのは、プラセボ以上の実力が証明された他の比較薬が存在しない場合に限られます。
とヘルシンキ宣言に謳われております。
偏型コロナが進行している中、ワクチンの効果が心配されておりますが、当然、医薬関係者はこのことを考慮して進めているのです。
まずは、ワクチン接種を受けることが肝要です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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