人が誰でも持っている免疫細胞『キラーT細胞』を人工的に作り、新型コロナウイルスの治療薬を開発するという研究が注目されています。
キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞を破壊する力を持っています。
また『記憶力』があるので、いったんウイルスの情報を知ると、次に同じウイルス来た時に、すぐに破壊することができます。
「キラーT細胞でのコロナ治療」は、世界初のことです。
ここでは、「キラーT細胞とは?」「キラーT細胞とコロナの関係は?」「河本非利子教授のWiki経歴?」
に迫ってみました。
Contents
キラーT細胞とは?
白血球は、からだの中に侵入してきたウイルスや細菌などから、常にからだを守り続ける免疫細胞です。
からだの中では多種多彩な免疫細胞(白血球の仲間達)が、緻密なチームプレーで異物と戦っています。
【樹状細胞(じゅじょうさいぼう)】は、外気に触れる鼻腔、肺、胃、腸管、皮膚などに主に存在している細胞です。
名前のとおり枝のような突起(樹状突起)を周囲に伸ばしています。
樹状細胞は、異物を自分の中に取り込み、その異物の特徴(抗原)を他の免疫細胞に伝える働きを持ちます。
実際には、抗原を取り込んだ樹状細胞は、リンパ節などのリンパ器官へ移動し、T細胞やB細胞などに抗原情報を伝えることで、それら免疫細胞を活性化させます。
活性化されたT細胞やB細胞が、異物を攻撃します。
【T細胞】は、ウイルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。
T細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、クローザーの役割があります。
① キラーT細胞は樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスが感染した細胞やがん細胞にとりつき、排除する、といういわゆる「殺し屋」の働きを持っています。
② ヘルパーT細胞は、樹状細胞やマクロファージから異物の情報(抗原)を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生します。
③ 制御性T細胞は、キラーT細胞が正常細胞へ攻撃をしないよう、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導く、野球でいう「クローザー」の役割を担っています。
キラーT細胞とコロナの関係は?
京都大学ウイルス・再生医科学研究所などで進められている研究では、
「回復した新型コロナ感染者から採血して、新型コロナを記憶したキラーT細胞を取り出し、どんな細胞や組織にもなることができるiPS細胞を材料に培養し、治療薬にすること」
を目指しています。
このiPS細胞を使う技術が世界で唯一だということです。特徴を3つ以下に列挙します。
【特徴‐1】 「キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞を、細胞ごと殺します。どんどん殺していくので、体からウイルスがいなくなって、病気を治す力を持っています。」
【特徴‐2】 変異は、ウイルスのスパイクたんぱく質に起こります。抗体はスパイクに対してできるので、ウイルスが変異を起こすと効かなくなることがあります。
一方、キラーT細胞は、ウイルス全体を標的にするので、ウイルスが少し変異を起こしても、効果を持ち続けることが期待できます。
【特徴‐3】 安全性を見極めるのに時間がかかるので、早くても3年後になると思います。
そのころには、新型コロナは終わっているかもしれませんが、いったんこの体制ができたら、他のウイルス感染症のキラーT細胞を作ることができます。
未知のウイルスが来てパンデミックが起きた時にも、半年以内くらいに細胞を作って治療に使うなど、つないでいくことができると期待しています。
河本宏教授のWiki経歴
◆ 名前:河本 宏(こうもとひろし)
◆ 生年月日:1961年6月9日(60歳)
◆ 出身地:京都市
◆ 学歴:京都大学大学院博士課程卒
◆ 職業:京都大学医学研究科免疫細胞生物学教室教授
◆ 家族:妻、3児、
◆ 趣味:絵画、漫画、音楽、
河本宏教授の経歴
・1980年京都府立洛北高校卒業。
・1986年京都大学医学部卒業。
・3年間の内科研修後、1989年より京大病院第一内科(現血液腫瘍内科)大学院。
・輸血部の伊藤和彦教授のもとでADA欠損症患者の遺伝子解析および遺伝子治療の基礎研究を行う。
・1987年:関西電力病院 ・2002年:理研免疫アレルギー化学装具研究センタ―
まとめ
実用化までに3年間を要するのは、現在のコロナには有効ではないが、
この技術が、今後の“パンデミック”対策には、有効で開発が期待されております。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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