中外製薬は29日、新型コロナウイルス感染症の治療に2種類の医薬品を使う「抗体カクテル療法」について、厚生労働省に製造販売の承認を申請したと発表した。
通常よりも簡略な手続きで使用を認める「特例承認」の適用を求めている。
ここでは、「抗体カクテル療法とは?」「新型コロナへの効果は?」「新型コロナの4番目の治療薬となるか?」
に迫ってみました。
抗体カクテル療法とは?
カクテル療法は同じような効果を持つ複数の薬剤を同時に用いる治療法で、単独の薬剤を使用する場合よりも治療の効果が高まることが知られている。
この点滴薬は、新型コロナの回復者の抗体を利用するなどして作った「人工抗体」を二つ組み合わせたもの。
米製薬企業リジェネロンが開発し、新型コロナに感染したトランプ前大統領が投与を受けたことでも知られている。
同抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体カシリビマブおよびイムデビマブを組み合わせたもの。
新型コロナの治療および予防を目的として、米リジェネロン社が創製した。
2020年8月に製造、開発、販売についてロシュ社と共同で実施することを発表し、同年12月に、中外製薬が日本における開発権および今後の独占的販売権をロシュ社より取得している。
中外製薬と日本政府は5月10日、国内で薬事承認された際に、国内での供給を目的として、2021年分を日本政府が確保することに合意している。
新型コロナへの効果は?
抗体カクテル療法を用いた海外での第3相臨床試験では、入院していない高リスク(重症化のリスク因子を持つ)の新型コロナウイルス感染症患者の入院や死亡のリスクが70%低下したという。
ワクチンは感染のリスクを下げることができるが、効果は95%ほどで感染がゼロになることはない。
低リスク(新型コロナウイルス感染症の症状はあるが重症化のリスク因子を持たない)や、新型コロナウイルス感染症の症状のないケースでも、ウイルス量の減少が認められたという。
このため治療薬は不可欠な存在で、有効な治療薬が登場することで、新型コロナウイルスと戦う武器が揃うことになる。
4番目の治療薬となるか?
現在、日本ではレムデシビル(DNAやRNAを構成するヌクレオチドの類似体)、デキサメタゾン(ステロイド系の抗炎症薬)、バリシチニブ(関節リウマチ治療薬)の3種が、新型コロナウイルスの治療薬として承認されている。
中外製薬は今回の抗体カクテル療法について、短期に承認が得られる特例承認の適用を希望しており、早ければ年内にも4番目の治療薬として承認される可能性がありそうだ。
まとめ
国内では、厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症治療薬実用化支援事業」の対象品目の1つとして抗体カクテル療法を選んでいた。
また、先月には日本政府との間で薬事承認後の供給契約も結んでいる。
早急に承認されることを望んでやまない!
最後までお読みいただきありがとうございます。
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