新型コロナウイルスの感染者が連日1万人を超えるなか、中等症の患者を対象としたネーザルハイフローという治療法が広がっています。
人工呼吸器よりも患者や医療現場の負担が軽く、期待が高まる一方で、課題もみられています。
ここでは、「ネーザルハイフローとは?」「ネーザルハイフローの試用と課題は?」「呼吸器関連施設アンケートの結果・注意点では?」
に迫ってみました。
Contents
ネーザルハイフローとは?
ネーザルハイフローとは、ネーザル(鼻)カニューラを使用した高流量酸素投与システムです。
なんだが大がかりな酸素投与に見えますが、ネーザルハイフローは多量の酸素を投与して呼吸器の粘膜が傷つかないように、
人工呼吸器用の加温加湿器を経由して酸素を投与する優れものなんです。
5月に厚生労働省が新型コロナの診療の手引きに加えました。
ネーザルハイフローの効果・事例は?
日本大学板橋病院・權寧博副病院長は、以下のように話しております。
「高流量の酸素を吸うことで人工呼吸器を付けなければならない状況を回避する。 人工呼吸器やICU(集中治療室)の病床、医療スタッフなど医療資源の枯渇を防ぐ。(装置を付けたまま)食事もとれるし生活の質を得られやすい」
4月に感染したこの男性は肺炎で呼吸困難になっていましたが、装置を付けた後、3日程度で症状が改善しました。
西端康孝さん(44):「一気に酸素が脳みそまで届く感覚。(装置を)付けた直後から体調が回復している感じがあった」
重症化を防ぐ治療法として導入する医療機関が増えていますが、患者数の増加に追い付かない状況も生まれています。
日本大学板橋病院・權寧博副病院長:
「十数台フル稼働でさらに追加で購入しているが手に入りにくい状態」 厚労省は医療機関に補助金を出すなど、確保に向けた支援をしています。
ネーザルハイフローの試用と課題は?
ネーザルハイフローは,1型呼吸不全の挿管率や死亡率を減らし,使用には必ずしもICUを要さずICU滞在や人工呼吸使用の抑制にも役立ち,
また挿管を希望しないDo Not intubate (DNI)の場合や抜管後の管理などでも有用な手段である.
しかし高流量ガスが上気道内を通過して外部へ流出するオープンシステムであるため,COVID-19の場合エアロゾルを発散させて院内感染をきたす懸念があることが知られている.
呼吸器関連施設アンケートの結果・注意点では?
現在,呼吸管理部会では 「患者数の爆発的な増加に伴いICUの圧迫が著しい場合において,
体制的に実施可能な施設では積極的にネーザルハイフローを使用していく戦略をとることで,医療資源の節約と患者の予後改善が期待される」 と考えている。
そのような状況下で行われた2021年2月3日~24日の期間でのアンケート1では,
回答が得られた日本呼吸器学会認定及び関連139施設のうち約半数の68施設でネーザルハイフローの使用経験があることが判明している.
しかも,そのうち58施設(85%)から,「有効な印象があったと」との回答を得ている.
一方で,「医療者に感染した事例がなかった」と回答した施設が64施設(94%)で,4施設(4%)が「どちらともいえない」,1施設(2%)が「感染した」との回答であった.
この結果からは,COVID-19の流行,地域,施設,医療スタッフなどの状況に応じて,また感染に対する種々の注意点
🔸「原則として陰圧個室で使用すること」,
🔸「医療者はN95マスクを含めたPPE装着を順守すること」,
🔸「カニュラを鼻腔内に正確に挿入すること」,
🔸「カニュラの上からサージカルマスクを装着すること(少なくとも医療従事者の入室前及び入室中は必須)」,
🔸「ガス流量は30-40L/分程度にし,不足時に増量を検討すること」
🔸「水抜きが必要な場合は,水分の飛沫に注意が必要」
などの注意点を踏まえれば,その使用は許容できると考えている.
まとめ
強力な、COVID-19の一治療法が認可されらが、「注意点」も多いので、
関係者の技量に期待したいものであります。
最後までお読みいただきありがとうございます。
スポンサーリンク